大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(う)1001号 判決

被告人 武藤信幸 外二名

〔抄 録〕

所論は、被告人両名は自らは兇器を所持していなかったのであるから、刑法二〇八条ノ二第一項の「兇器の準備あることを知って集合した」ものというのならば格別、原判決が「兇器を準備して集合した」ものと認定したのは誤りである旨主張する。そして、同人らが兇器を所持しているのを目撃したという証人のいないことも所論のとおりである。

しかし、被告人武藤については、同人を逮捕した西村昭男の供述及び岩本昇一、武田忠男、園田良一作成の各写真撮影報告書謄本(特に右岩本写真のNo.2、武田写真のNo.4、園田写真のNo.8)等により、同被告人が逮捕される以前に火炎びん及びつるはしの柄を所持していたことが認められるし、被告人佐藤英明については、写真による判定は困難であるが、原審証人今里滋の供述や飯田高興の検察官に対する各供述調書謄本等によると、お茶の水派出所付近に向った集団が明治大学八号館を出発するに先立ち、その構成員の各自に火炎びんとつるはしの柄一本ずつが配られたことが認められることや、原判決の掲げる証拠によって認められるその後の集団の状態、同被告人が逮捕された時の状況、服装、所持品などを総合すると、同被告人もまた逮捕される以前に、同集団中の一員として判示の場所で火炎びんなどの兇器を所持していたものと推認して妨げないというべきである。

もっとも、原判決は、被告人両名がそれぞれ自らどのような兇器を所持していたのかは明示しておらず、ただ「多数の学生らとともに、警備中の警察官、警察施設などに対し共同して害を加える目的をもって、多数の火炎びん、つるはしの柄を所持して集合移動し、もって他人の身体・財産に対し共同して害を加える目的をもって兇器を準備して集合し」たものと判示しているだけであるところ、前記のように、出撃に際し兇器が一人ひとりに配られ、なお補充用の火炎びんも一括して用意されたことの認められる本件のような形態の事案にあっては、これらの兇器全部が、本件集団の共同加害目的を達成するため、その構成員全員の共用の兇器として準備され、全員が兇器全部を共同で所持していたものといって差し支えないから、仮に被告人両名が当時素手のままであったとしても、他の兇器を手にしていたものと同様に、兇器を準備して集合した罪が成立するものと解することができる。

(牧 永井 本郷)

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